最期の在り方を選べる時代
終末医療と聞くと、「見捨てられた。」といった思いを持つ方がほとんどだと思います。一言言わせていただくと、決してそんなことはありません。高齢社会になった今、日本の医療現場では「死に方」の在り方について考え方が変わってきています。
従来ならば、自宅で家族に囲まれて安らかな眠りにつくのがいたって普通のことでした。その後医療が発達し、延命措置ができるようになってからは、大体が病院で亡くなる方が一般的になりました。しかし、2025年問題に向け、病院から在宅へと移行を進めている現在では、患者さんひとりひとりのニーズにあった看取りの医療が発達しているのです。
例えば、緩和ケア病院といったものがあります。ここは、病気を治す目的で治療する場所ではなく、苦しい症状をなるべく抑え、最期までその人らしく生きていけるような医療を提供しています。病院で大変な思いをしてまで治療をするのではなく、症状を抑えて、趣味や友人作り、家族との時間を大切にしたい方々が過ごす場所です。在宅医療では、かかりつけ医、訪問看護師、訪問介護士、ソーシャルワーカー等といったチームが連携して患者さんとその家族を支えています。
また、「最期は住み慣れた家で過ごしたい。」そんな思いを叶えているのが在宅医療です。家族に必要な技術を教えて、身近な人が心のケアを行い、最期はみんなでゆっくりと看取ることができます。お別れの時間は、その家族だけのものです。医療従事者が残り少ない家族の時間を邪魔をすることはあってはなりません。このことからもわかるように、終末医療とは、患者さんが最期までその人らしく生きていくための医療なのです。これからは、最期の時間を心安らかに過ごせる時代が当たり前になるのかもしれませんね。
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